製造業における顧客体験の重要性と改善ポイント

顧客体験 クリエイティブ

この記事をご覧の方の中には、製造業に関連する業務をされている方も多いのではないでしょうか?

みなさまは製品を作る時、販促する時、提供する時、顧客体験を意識することはありますか?

筆者は過去あらゆる製造業のマーケティング支援業務を行ってきましたが、作る時、提供する時の顧客体験には意識を向けているが、販促時の顧客体験に意識が向いていないケース、あるいはどう意識すべきか分からないというケースがほとんどです。

顧客体験とは何か

まず、顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)とは「顧客が企業の商品・サービスに興味を持ち、その商品・サービスを利用するまでの一連の体験」と定義されています。

定義だと分かりづらい部分がありますが、要するに「お客さまが製品・サービスを通じて得られる体験全て」が顧客体験にあたります。

体験と聞くとリアル(対面)で与えるものを想像する方もいらっしゃると思いますが、顧客体験の範囲はデジタル、リアルを問いません。

例えば、広告を目にした際に「気になるな」と思うこと、サイトに訪れた際に「機能が魅力的だな」と思うこと、製品を手にしてみて「便利だな」と思うこと、その全てが顧客体験です。

昨今、スマートフォンなどのデジタルデバイスが普及したことにより、時間や場所を選ばずに気になるモノ・コトを調べられるようになりました。

これは便利なことである一方、顧客との接点が増え、マーケティングがより複雑化している要因のひとつでもあります。

こうした背景から、顧客との接点ひとつひとつをより良いものにすべきという顧客体験への意識が高まってきました。

現代社会において顧客体験は、世界に溢れているモノ・コトと差別化を計るために必要不可欠なものであるといえます。

 製造業における顧客体験の現状

前述の通り、昨今顧客体験に対する意識が高まったこともあり、「顧客体験をより良くしたい」というお声をいただくことが増えてきました。

現状をヒアリングすると、製造業はものづくりの世界ということもあり、製品・サービスそのものが顧客に与える体験は素晴らしいものでありながら、その魅力を十分に伝えきれていないケースが非常に多いのが実態でした。

製品・サービスは良いものであるのに、その販促方法に課題があることで魅力を伝えきれずにいるのは大きな機会損失です。

なぜ、そのような状況に陥ってしまうのか?それは、製造業特有の昔ながらの体質が大きく影響しています。

筆者は過去、製造業以外の業界をメインとしたマーケティング支援を行っていました。

初めて製造業のマーケティング支援に携わった際に一番驚いたのが「デジタルを軸とした顧客体験が明らかに不足していること」でした。

案件状況に関しても継続案件やそれから派生する案件が殆どで、新規受注は口コミなどの紹介かテレアポ営業というリアルな顧客体験ばかり重要視しているケースが多く、非常に勿体なさを感じました。

勿論、顧客体験においてリアルな体験というのはとても大事なことで、それを意識すること自体は正しいです。

しかし、先に述べた通り、デジタルデバイスの普及により顧客と接点を持つ機会は増え、顧客自身も気軽に情報収集と取捨選択をする時代になりました。

その中でリアルな顧客体験のみ行うということは、顧客と新たな接点を持つ機会をみすみす逃してしまっているということです。

特にそれが顕著に表れているのが、顧客の「製品認知」「興味関心」「検討」のフェーズです。

リアル(例えば展示会など)以外で製品に気づいてもらえない、魅力を伝えきれていない、競合との優位性を押し出せていないという課題を持っている企業が多く、これを改善しない、一貫した顧客体験を実現している競合に淘汰されていくでしょう。

では、どのように顧客体験をより良いものにしていくのか。次章で事例を交えながらご紹介いたします。

顧客体験で重視すべきポイント

顧客体験を良くするうえで意識すべきポイントは大きく分けて以下、3点あります。

現状の顧客体験と理想の顧客体験のギャップを知ること
“顧客視点”でギャップを埋めるための施策を検討すること
施策の実施と振り返りを繰り返し、練度を上げていくこと

では、順を追って説明していきます。

現状の顧客体験と理想の顧客体験のギャップを知る

まずは“こうしたい”や“こうあるべき”という理想を具体化し、現状とのギャップを可視化しましょう。

顧客の一連のフローを「商品認知」「興味関心」「検討」「購入・契約」「継続」の5つに分けるとします。

以下の図のようにそれぞれのフローにおける理想的な「接点(媒体)」「顧客が起こす行動」「その時の気持ち」を整理してみましょう。

尚、この際の理想は予算や工数を加味した現実ラインを引くのではなく、本来こうあるべきという理想をしっかりと描くようにしてください。

現状の顧客体験と理想の顧客体験のギャップ イメージ図

次に、同じようにそれぞれの顧客フローに対する現状を並べてください。

そうすることで、理想に対する現状の課題が可視化され、まずはどこに注力をして改善をしていくべきかが明らかになります。

“顧客視点”でギャップを埋めるための施策を検討する

現状と理想のギャップを明らかにしたら、次はそれを埋めるための施策を検討しましょう。

ここで重要なのは、やみくもに考えるのではなく、あくまで“顧客視点”で考えるということです。

また、顧客像がブレないよう、具体的な顧客像(ペルソナ)をしっかりと設定するようにしてください。

例えば、ターゲットが「30代男性、設計担当者」のような漠然としたイメージだと、その人の性格や思考をイメージできずに的外れな施策になってしまうからです。

最低限、実際の顧客データあるいは今後獲得していきたい顧客像から「性別」「年齢」「職業」「性格」「ライフスタイル」「解決したい悩み」を設定するとよいでしょう。

作成が完了したら、顧客像に対してどんな施策を行えば刺さるかを社内でブレストしましょう。

「この人は慎重派だから数回に分けてしっかり製品の魅力を伝えるべき。」や「このライフスタイルであれば早朝にメルマガを配信すれば見てもらいやすい。」など、顧客像に対するイメージを深堀しつつ意見を出し合い、施策を列挙していきましょう。

出てきた施策に対し、初めて予算や工数を鑑みてすぐに実現できそうなものや改善の重要度が高いものを洗い出せば当面の施策プランが完成します。

施策の実施と振り返りを繰り返し、練度を上げていく

施策検討が完了したら、後は実行をするのみです。

ここで重要なのは、施策実行して終わりではなく、しっかりと結果を振り返ることです。

例えば、施策としてお勧め商品のご案内をメルマガ配信したとしましょう。

送って終わりではなく、その後の開封率やクリック率、実際にあったお問い合わせの声などを効果測定してください。

振り返りを行うことで、顧客像に刺さっていた施策かそうでないかが明らかになります。

刺さっていない場合は顧客像を新たに修正する必要があり、刺さっていた場合は同じ方向性で施策を行っていくという方針が決まります。

最初はなかなか施策の結果が思うように出ないこともありますが、この実施と振り返りを繰り返すことで徐々に練度を上げ、顧客にとっていい施策は何かをじっくり検証していきましょう。

こうすることで、顧客にとってストレスのない快適なフローの実現、つまりはより良い顧客体験の実現に繋がります。

まとめ

以上、製造業における顧客体験の重要性や実態、顧客体験向上のためのポイントをご紹介いたしました。

自社の現状と比較し、共感できる部分や課題は見つかりましたでしょうか?

顧客体験というものは複雑で、今回紹介できなかったワークフローなども数多く存在します。

それについては今後のブログ記事で改めてご紹介させていただく予定ですので、どうぞ今回の記事と併せ、お役立ていただければ幸いです。

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